田中静壱陸軍大将所持『青江貞次』南北朝期の青江派代表工 本阿弥光遜添状 極上の九八式陸軍軍刀拵付属 刀箱付
備中国青江派は平安時代末期から南北朝時代にかけて大いに繁栄しました。
隣国である備前ともに備中も古くより刀剣の産地として知られていました。
特にその中でも貞次の初代は後鳥羽上皇番鍛冶の一人と言われて名高く
その名は青江を代表するものとして受け継がれ南北朝末期まで続いています。
この刀は鎬造、庵棟、身幅広く、重ねやや厚く、反り尋常、切先は中切先が
延びごころとなり、豪壮で南北朝時代特有の刀姿をしていると思います。
鍛えは板目肌で、地沸が細かについて、地景入り、映りが現れています。
青江物らしい見事な鍛えになっていると思います。刃文は直刃調に小のたれ
小互の目が交じり、小足が入って、二重刃ごころがあり、小沸よくつき、
細かな砂流し金筋がかかり、働き豊富な刃文を焼き上げていると思います。
帽子はのたれて先が掃きかけて返っています。茎は大磨上無銘となっています。
本阿弥光遜の添状があり田中静壱陸軍大将の所持刀で青江貞次であるという
内容になっています。田中大将は戦国大名であり長船の後援者であったという
赤松家の後裔といい、その縁で山陽地方の刀剣を軍刀にしていたと思われます。
田中大将は終戦時に玉音盤を奪いクーデターを起こすという宮城事件を鎮圧して
大きな混乱を防ぎました。そして事件が一段落した8月24日に自決しています。
軍刀拵も高級将校らしい重厚な鉄鞘で保存状態も良好です。将官緒は残念ながら
欠損となっています。金具の製造番号は17となっています。刀箱が付属しています。
状態はうぶ出しのままとなっています。昭和近代史の貴重な資料であると思います。
長さ/67.1cm 反り/1.5cm
元幅/29.8mm 元重/6.6mm 先幅/21.8mm 先重/5.2mm 刀身のみの重量710g
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