織田信長旧蔵黒田家伝来『三条吉家・名物・織田吉家』平安時代のうぶ茎在銘太刀 本阿弥光温折紙 刀苑社最上作 納戸・寒山鞘書の落札結果

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織田信長旧蔵黒田家伝来『三条吉家・名物・織田吉家』平安時代のうぶ茎在銘太刀 本阿弥光温折紙 刀苑社最上作 納戸・寒山鞘書

三条吉家は山城国京都三条派の開祖であり国宝三日月宗近の作者である小鍛冶
宗近の子あるいは孫と伝え平安時代の保元（1156）頃に活躍しました。
異説としては宗近の別名であるとも言われています。作風は平安時代後期で
宗近と比べると全体的強みが増しており、刃文は小沸がよくついて金筋や
砂流しがかかり、華やかな作風となっているのが特徴です。古来より名工と
称されており文化財などが現代に伝わっています。
この刀は鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、反り尋常につき、切先は中切先、
うぶ茎で二尺四寸を超える長さがあり、優美ながらも強さのある太刀姿を
していると思います。鍛えは板目肌がつんで地沸がよくついて、地景入り、
潤いのある清涼な山城伝らしい鍛えとなっていると思います。刃文は小乱に小丁子交じり、
金筋や砂流しがよくかかり、小沸がよくついて、匂口が明るく冴えています。
帽子は乱れ込んで先が尖りごころに僅かに返っています。表裏に棒樋があります。
茎はうぶ茎で三字銘で吉家作の銘があります。
本作は正親町天皇が京都で馬揃を行った織田信長にその功績を賞賛して下賜し、
豊臣秀吉の淡路平定が成功した際に褒美として贈られています。本能寺の変の仇を
果たした秀吉が後継として天下を統一しますが九州平定後に黒田官兵衛（如水）を
豊前国主に任命しています。その先に軍師として長く勤めた如水に対してこの太刀が
与えられて以後、黒田家に伝来していた一振りです。その伝来が納戸係と思われる
鞘書にあり蔵番号などが添えられいます。折紙は本阿弥家十一代目「光温」です。
古折紙の中でも後世に代付が上ったに新しい折紙に書き換えられている場合が多く
光温の折紙は現存が僅少です。これが黒田家が名門である証でもあると思います。
鞘書の裏は昭和の傑物である佐藤寒山で伝来同意と書かれています。花押の下の
ハンコは佐藤寒山が非常に素晴らしい作品であると判断した場合のみ押されるそうです。
鑑定書は刀苑社の最上作認定書が付属しており、織田信長が収蔵していたことから「織田吉家」と
命名されています。鑑賞の大きな妨げにはならないかと思いますが樋の中に薄錆があります。
見事な刃文を焼き上げ、伝来も国宝に迫るような一級品であり、三条吉家の最高峰に
列する一振りであると思います。

長さ/73.0cm　反り/1.7cm
元幅/31.2mm 元重/7.5mm 先幅/21.5mm 先重/6.0mm 刀身のみの重量740g
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