コンプトンコレクション旧蔵品『福岡一文字』得能一男鑑定書 華麗なる重花丁子刃の名刀 米国一の収集家であったコンプトン博士鞘書 本間薫山鞘書
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鎌倉時代の備前物と言えばこの一文字派と長船派が挙げられます。
一文字派は鎌倉時代から以後南北朝時代にかけて福岡、吉岡、岩戸などの地に
栄して多くの名工が現れました。丁子乱れを以て名高いですが、
特に鎌倉時代中期の福岡一文字派は大丁子や重花丁子を焼いて華やかな
作品を残しており、現代でも称揚されています。
この刀は鎬造、庵棟、身幅やや広く、元先の幅差が少しつき、重ね頃合い、
反り深くついて、切先は中切先となっています。格調高さの中にも
鎌倉時代中期の力強さがある刀姿をしていると思います。
鍛えは板目肌が良く練れて杢目が交じり、地沸が細かについて、
映りが立つ、美しい抜群の鍛えになっていると思います。
刃文は丁子乱れに、蛙丁子などが交じり、焼き高く華やかに乱れて、
足や葉がよく入り、匂勝ちに小沸がついて金筋や砂流しかかり、刃が明るく
冴えています。帽子は乱れ込んで返っています。表裏に棒樋が
掻き通されています。大磨上げで僅かに朱銘の跡のようなものが
ありますが判読は出来ません。米国一の収集家であったコンプトン博士の
収集品で同博士の鞘書(サイン)があります。博士は日本刀の里帰りにも
協力的で戦後にアメリカに持ち去られて行方不明になった刀剣が博士の
尽力で里帰りを果たしています。古刀研究の大家であり同じく刀剣界へ
大きな功績を残した本間薫山の鞘書がありコンプトン卿旧蔵と書いています。
昭和平成に活躍した研究家である得能一男の鑑定書が付属しており
伝来などを寸評に書いております。研ぎは少し古めですが鑑賞には問題ないと
思います。まさに福岡一文字がその本領を発揮した鎌倉時代中期の
大名刀であると思います。
長さ/二尺二寸五分五厘 反り/七分
元幅/29.4mm 元重/7mm 先幅/19.8mm 先重/5mm 刀身のみの重量660g
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