クなテーマと低い温度感のリフレイン。ブルックリン界隈ではポピュラーなスタイルだろう。フランス人若手ギタリスト、セバスチャン・ジュリが
発
表したばかりの新作だ。 目玉は、なんといってもウォルター・スミス3世の参加である。彼のプレイはいつにも増してデリケートだ。かたやジュ
リの
ギターはシンプルで のプレイはいつにも増してデリケートだ。かたやジュリのギターはシンプルで無駄がない。そのテナーとギターがユニテ
ーマを奏でるのだから、放っておいても淡麗辛口な演奏になる。
主役のジュリもソロを取るが、どちらかといえば売れっ子のスミスを前面に押し立てた作りをしている。そのため本作ではスミスのプレイを
た
っぷり堪能できる。M-1ではアルバムのコンセプト通りクールそのもの。またM-4やM-8では逆に熱くエネルギッシュなブロウが聴ける。こ
の
あたり、クール&ホットを器用に使い分けるスミスの特徴がよくわかっておもしろい。
一方、ジュリのギターはグラント・グリーン系のテイストながら、楽曲に応じて繊細なタッチも見せる。特にバッキング時における単弦弾きの
ち
ょっとしたフレーズやコードワークに光るものがある。弾きまくるタイプではなくゴツゴツしたプレイで華やかさはないが、渋めのギターが好
み
の人にはツボだろう。リズム隊はサポートに徹しているが、全員が白熱するM-4ではベースソロも用意されている。
アルバム構成は2曲を除きすべてオリジナルの計8曲。テーマがよくスミスがホットにぶっちぎるM-8がダントツでかっこいい。ほかに後
半
アッテンポになり津波のように盛り上がるM-4、軽快なノリがさわやかなM-5、ギターソロが冴えるM-6あたりが耳に残った。
セバスチャン・ジュリはフランスの音楽院を卒業後、ニューヨークのニュー・スクールで学んだ。ジミー・レイニーやグラント・グリーンの影響
が
濃い。現在までに3枚のリーダー作をリリースしている新鋭だ。
1.Green Waves
2.Cloud 5
3.The Flying Dutch
4.Backup
5.The Lighthouse
6.Sweet Nightmare
7.Soft Song
8.Simone