実物を確認するとリムは適度な厚みとややフラット気味の形状で、唇への感触が良く心地良い吹奏感です。
リップの自由度も確保されたリム内径で、男性奏者や大柄な方、少し唇が厚めの方にも良いと思います。
リムからカップにかけて、ややえぐりが入っていて、カップの容量が少し増すことで音色の面でも貢献しています。
V.バックのマウスピースは同じ「〜C」というアルファベットが付く型番でも、カップの深さ、形状など、それぞれ微妙に異なってデザインされています。
「1-1/2C」は3Cや6Cのやや浅めのCカップに比べるとわずかに深めのCカップになっていて、豊かな音色が得られます。
スロートの入り口付近がやや広めの形状になっていて、軽く吹いても安定した息の流れになるようで、キンキンと明るすぎる音色にならない点も好ましいです。
サウンドはふくよかさと輝かしさを併せ持つ、V.バックらしい素晴らしい音色です。
芯があって遠くまでよく響く独特のサウンドは1-1/2Cならではです。
高音域を含め全音域で演奏しやすく、長時間の演奏ですぐにバテることのないバランスの良いマウスピースです。
クラシックからジャズ、ポピュラーミュージックまでジャンルを問わず使われているのものうなずけます。
V.バックの1-1/2Cは長年にわたって世界中で非常に人気のある型番で、ジャズ界の大御所となったウィントン・マルサリスもD.モネットのマウスピースを使い始める前はV.バックの1-1/2Cを使用していたようです。
1980年代のデビュー当時のレコードジャケットなどで、金メッキの1-1/2Cを使っているのを確認できます。
クラシックの世界でも1-1/2Cを使用するプレイヤーは多く、定番になっています。
全体に良い状態を保っています。ところどころ極わずかな擦りキズが見受けられますが、よく見ないとわからないほどでほとんど気にならないと思います。
全体の銀メッキの状態も良好で、美しく光り輝いています。
リム、カップから、スロート、バックボア、シャンク先端にかけて、精緻で美しく仕上げられています。
マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。
トランペットのマウスピースは世界中の数多くのメーカーから発売されていて、種類も数え切れないほどあって選ぼうにも途方に暮れてしまいます。
そのような中でも1928年にニューヨークのブロンクスに工房を開いてから90年以上、常に世界のトランペットマウスピースのスタンダードであり続けるのがヴィンセント・バックのマウスピースです。
他のメーカーに浮気しても、結局V.バックのマウスピースに戻ってくる、という話は古今東西たくさん聞かれます。