1970年、ブーレーズ&バイロイトによる《パルジファル》。
1966年にバイロイトに登場し、新風を巻き起こしたブーレーズ。翌年にはセル時代のクリーヴランド管弦楽団首席客演指揮者に就任し、精緻な演奏への希求も始まるこの頃は、
ブーレーズもまだ40代ということもあってか、主張の強い演奏が多く、この1970年にドイツグラモフォンによって制作された『パルジファル』でも、
作品の神秘性にとらわれることなく、ストレートで透明で力に満ちた演奏を実現しています。
録音はバイロイトでの上演に平行しておこなわれ、ハンス・ヒルシュとクラウス・シャイベのコンビが、
当時のオペラ録音としては第1級のサウンド・クオリティに仕上げています。
歌手陣も、ジェイムズ・キング、ギネス・ジョーンズ、フランツ・クラス、トマス・スチュワート、カール・リッダーブッシュと有名どころが揃えられており、
バイロイトとしてもかなり力の入ったプロダクションであったことがうかがわれます。(HMV)