劇場全体を巻き込んだ
ピッツィのリソルジメント『シチリア島の夕べの祈り』!
ヌッチ、デッシー、アルミリアート、プレスティアの強力キャスト!
ヴェルディ:
歌劇『シチリア島の夕べの祈り』全曲
レオ・ヌッチ(Br モンフォルテ)
ダニエラ・デッシー(S エレナ)
ファビオ・アルミリアート、ほか
パルマ・レッジョ劇場管弦楽団&合唱団
マッシモ・ザネッティ(指揮)
演出、装置、衣装:ピエール・ルイージ・ピッツィ
2010年10月13,17日:パルマ(ライヴ)
・ボーナス:『シチリア島の夕べの祈り』について
ヴェルディが始めてパリのオペラ座のために書き下ろした大作『シチリア島の夕べの祈り』は、力作ではあるものの規模が大きい上にどの役も難役で、上演は多くありません。
ここに収録されているのは、2010年10月にパルマのヴェルディ音楽祭で上演されたもの。巨匠ピエール・ルイージ・ピッツィは、スカラ座でも『シチリア島の夕べの祈り』の演出を手掛けていますが、これはまったく異なるもの。舞台装置などはごく簡単なものに留める一方、19世紀風の衣装の登場人物が頻繁に平土間の通路に現れ舞台と行き交うことで、この作品が初演された頃のリソルジメント(イタリア統一運動)直前の時代の空気を強く打ち出しています。
ヴェルディ音楽祭には珍しくイタリア人のベテラン歌手が揃っており、しかもいずれもが打ってつけの役。モンフォルテは、この時68歳のレオ・ヌッチ。恐ろしい総督としての貫禄と、息子の愛を求める父の両面を見事に歌い切っています。エレナ公女とアルリーゴはダニエラ・デッシーとファビオ・アルミリアート。私生活でもパートナーのこの二人、デッシーが情感豊かにエレナを歌えば、アルミリアートは情熱的にアルリーゴを歌い、まさに夫唱婦唱。プローチダのジャコモ・プレスティアもドシッとした存在感があります。
指揮のマッシモ・ザネッティは、2008年の『リゴレット』の好評を受けての再登板。引き締まった音楽作りで長大なオペラをダレることなく聴かせてくれます。
なお、第3幕のバレエ『四季』と第5幕のアルリーゴの短いアリアが外されています。(キングインターナショナル)