(2006 / CD / BUDDY BOY RECORDS)
フロリダ州マイアミより、実力派シンガー COTTON による (おそらく) デビュー作。
本作がリリースされた時はまだ17~18歳だったらしく、年齢のわりに成熟しつつある
バリトン (ときどきファルセット) でもって熱い歌声を聴かせる技巧派である。さて、
本作はニューヨークとフロリダを行き来して制作されたらしく、アルバムの半数弱は
ラッパーを交えたヒップホップ・フレンドリーな内容に仕上がっているが、その間を
縫うように配されたミディアム~スロウ・ナンバー群こそ本作の聴きどころで、③は
H-TOWN などにも通じる中毒性たっぷりのドープな楽曲に、⑦は狂おしい歌いっぷり
が堪らないディープな楽曲に仕上がっている。そして終盤の3曲はヴォーカル&ギター
のアンプラグド録音でしっとりと歌い上げられており、アートワークの雰囲気がよく
表れている。全編総じてクオリティは上々で、甘えや妥協などは一切感じさせない。
期待のニューカマーだったが、本作以外に作品のリリースは確認できていない。早熟
な才能が残した (おそらく) 唯一作にして、フリークの間で密かに語り継がれる逸品。