【1】概要
・1950~60年代に製作されたRFT/VEBの大型ダブルコーンフルレンジユニット、 L 2659 PBOとTelefunkenのアルニコツィータによる2Wayシステムです。
・フルレンジは25mm厚の天然木パイン集成材による後面部分開放型エンクロージャー(ROTE :Rear Open Type Enclosure) にセットされたシステムです。
・これだけでも素晴らしいフルレンジですが、さらに高域を強化するためTelefunkenのアルニコ高性能ツィータによるアドオンシステムを備えた2Wayシステムとしています。
・VEB FUNKWERK は東独の音響製品制作組織でのちにRFT協会に統合され、その優秀な製品はヨーロッパ各地に出荷されていました。
・出品のL 2659PBO は18X26cmというフルレンジの大型の傑作です。
・超軽量ダブルコーン、大型マグネットなど多くの技術的特徴を有しており、この時代のフルレンジとしては出色の高能率を達成している傑作です。
・私も初めて使用してみましたが定評通り高能率・ハイスピードで太く逞しい音です。
・このユニットに対してはオープンバッフル、あるいは後面開放型エンクロージャー(ROTE)が推奨されています。
・高速動作するコーンへ制約を加えずに低音まで出すには本格的なROTEがベストです。
・出品のシステムは超軽量コーンの動きに制約を加えずに低音を出すことに成功していると思います。
・ROTEは後方にも音が広がりますのでスケールの大きな再生音を得ることが出来ます。
・音を聴くと古さは全く感じられず、シングルフルレンジから素晴らしい音楽が流れてきて驚きます。
・ユニットはストレスのない設計で、かつマグネットなどへの物量投入が功を奏し、JAZZ, クラシックを問わず満足度の高い再生音が得られます。
・この当時のシステムは高域が早めにロールオフしますので現代的ソースもカバーするためアドオンツィータシステムを装備しました。
・TelefunkenとRFTは技術者に共通点が多いので音色がピタリと合います。
・素晴らしい広帯域システムになっていると思います。
・アドオンシステムは他のシステムにも使用可能です。
・1950年代の高速高能率と広帯域の音を同時に楽しむことが出来ます。
【2】システム
・フルレンジ型式:VEB L 2659 PB0。RFTに統合される前の製品です。
・インピーダンス:7オーム
・口径:外形直径=180X260㎜
・コーン:ダブルコーン、フィックスドエッジ
・状態:良好。2台とも同じロットらしく外形もシールもそろっています。この時代の製品としてはかなりレアなペアです。
・大きなダメージは見当たりません。コーン、フレーム、マグネットも良好です。
・ツィータ:Telefunken Magnetophon
・サイズ:75X130mm
・マグネット:大型アルニコ
・スタンド:15mm厚パイン集成材、幅130mm,高さ120mm, 奥行135mm
【3】フルレンジ用エンクロージャー:
・型式:後面部分開放型(ROTE)・後面にも音が拡散されますのでスケールが大きな音が得られています。
・サイズ:幅27.6cm、高さ38.6cm、奥行22.5cm・材質:天地側面は25mm厚の天然木パイン集成材、バッフル、裏板はMDFです。
・板厚、重量が有りますので不要な雑音は抑え込まれ、深くクリアな低音が安定して出てきます。
・外装:100、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのナチュラルトオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨仕上げています。
・サランネット:黒のジャージネットによる頑丈なサランネットが付属します。
・入力端子:2Pのハーモニカ端子でYラグ、またはケーブルむき出し線が接続可能です。 ・バナナプラグ、極太ケーブルなどほとんどのタイプのスピーカー端子が接続可能な金メッキ金属削りだしのアダプターが付属します。
【4】音質
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・能率が高いので12畳程度の部屋でも十分な音量が得られます。
・一聴してコーンがストレス無しに自由に動いている生き生きした音であることが分かります。
・マイルスディビスの1956年録音のPrestigeのマラソンセッション、4枚(「Cookin'」「Workin'」「Relazxin'」「Steamin'」)を聴きました。
・マイルスのトランペットソロ、コルトレーンの硬質なテナーサックスソロがスピーカーの前面に生々しく現れます。
・コルトレーンの10月録音の演奏は驚くべき技術とハートがあり感動します。
・またポールチェンバースのこの当時の最高のベースが弾むように出てきて音楽をスィングさせています。
・心地よい再生なので、4枚のCDを一気に聴いてしまいました。
・オーネットコールマンのAtlantic時代のCDはどれも革新的ですが決して難解ではありません。
・よくスィングして、音も素晴らしいです。
・このシステムはオーネットの新しいJAZZを生き生きと再生しています。
・チャーリーヘイデンのベースは今聴いても音色、ランニング、ソロすべてが新しいですね。
・ECMの比較的新しいキースジャレットトリオの再生も満足できるものでした。
・最近試聴によく使っている「JAZZで聴くバッハ」ではクリアなピアノ、深く太い根田らバスの響きが快感です。
・アコースティックな音楽全般を透明感あふれる音で再生していると思います。
・点音源ですので位相特性が良く、大編成のオーケストラの再生においても、楽器の分離が良く、かつ奥行が良く出ます。