パガニーニーの愛器,ガルネリ・デル・ジェス カノン砲 iL Canonneのレプリカです.
イタリア,ペルージャの製作家Matteo Rufini 2010年製作
Matteo Rufini氏は,通常の作品の他に, Cremoneseの精巧なレプリカなど,銘器のレプリカ造りも得意とする製作家です.
単なるCanonneモデルというだけではなく,本物のCannoneのニスの剥がれ,本体の傷,汚れも再現しており,新作とは思えない迫力のある佇まいです.
Rufini氏はとくにニスの再現では評価が高い製作家です.
China madeのカノン砲コピーもたくさん出回っていますが,それとは次元が違います.
本器は,EU圏を中心にトップクラスのソリストとして活躍されている方がファーストオーナーで,サブ楽器として,新作から5年間ほど使われていました.
その方が,サブ楽器をフレンチの銘器にアップグレードされた際に譲っていただいたものです.
サイズは以下ですが,私の計測なので,若干の誤差はあるものと思います.
BL: 354mm
UB: 167mm
CB: 115mm
LB: 207mm
とても軽量な楽器で,顎当てなしの状態で352gです.
ガルネリモデルというと,アーチがぺったんこなものが多いですが,本器は豊かな美しいアーチングが再現されており,これもお気に入りポイントのひとつです.
指板の下に薄くメープル材のスペーサーがかましてありますが,本物のCannoneも,現在同様の細工が施してあったように思いますが,記憶違いだったら申し訳ありません.
日本に来てから,輸送中に損傷したペグの交換,ネックのリセットなどを行なっています.
ネックは日本の気候に適した膠で再接着されていますので,高温多湿の国内での使用でも安心です.
前回出品時に,軽量な楽器で,ネックのリセットやスペーサーが入れられていることから,ネック下がりしやすい楽器なのではないかとのご質問をいただきました.
終了間際だったため回答できませんでしたが,ネックのリセットはペグ交換時に工房の方がボタン部の接着の緩みを発見したためです.
それ以来8年間,ドミナントやオブリガードなどの通常の張力の弦を張って使用してきましたが,ネックはまったく動いていません.
現在の弦高はE線:3mm強,A線:約4mm,D線:約5.8mm, G線:約5.5mmです.
指板端の高さは18mmとやや低めにセットしていますが,その方がこの楽器に合っていることと(前オーナーもほぼ同じ高さにセットしていました),個人的にネックプロジェクションが高い楽器の音があまり好みではないためです.
駒高さは中央部で31.5mmくらいです.
顎当てはCrowsonのガルネリ型をお付けします.
テールピースはLes Bois d’Harmonieのヒルタイプ,エンドピンはOtto Tempelです.
GEWAのハードケース Air Ergoに入れてお送りします.
車での移動がメインなので傷はほとんどありませんが,白いケースの宿命で,汚れは少々付いてしまっています.
Air Ergo
製作証明書と製作過程を記録したCD(写真集)も付属します.
演奏上問題になるような大きな瑕疵がある場合は返品を受け付けますが,音が気に入らないなどの理由での返品はお断りします.
元ソリストの所有品ということもあり,音質は優れていると思いますが,個人的好みのある世界の話なので念のため.
なお前回出品時にも,試奏のご希望や楽器を見てから支払いたいなどの打診をいただきました.
ただ私自身が多忙なためと,以前試奏にお応えして,つまらないトラブルになったことがあるので,試奏等はお受けしていません.
ご理解よろしくお願いします.