| 1978年 285P C.ノルベルグ シュルツ 鈴木恂 定価15000円 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
木のヨーロッパ、木の日本 伊藤ていじ Wooden Cultures of Europe and Japan, by Teiji Itoh モンスーン地帯の小さな島に生まれた一人の日本人として、同じ大地 で生まれ同じ木を使いながら、どうしてこんなに日本の土着建築はヨ ーロッパのそれと違うのだろうかと思う。そこには多分自然条件の違 いや世界観の相違が考えられるだろう。 わが国では稀にしかみられな 木の組積構造、決して屋敷を塀や生垣では囲わずまわりの自然と屹 立しているその構え、彫刻や装飾といった装飾を構造とは分離させる その手法など 要するにそれらは文化の形式の相違というものであ り、画一化が進んでいく現代文明の社会の中で, その特異性ゆえに価 値をもっていることは確かである。 しかしそれと同時にヨーロッパと 極東とは, ことにこの本にあらわれる土着建築を育てあげてきた時代 には,現代よりも遙かに遠かったはずなのに, どうしてこうも似てい る点があるのかとも思う。そして基本的にはその類似性への共感が, 私の心の根底にあったから,両者の相違に安心して興味を私たちはも つのかもしれない。 私はこの本の著者・二川幸夫の写真をみていると, 今から20数年まえ 彼とともに日本の民家を求めて日本列島を放浪していた時代を思い出 す。 その頃の私たち二人はまだ若かったし, その頃はまだ土着建築は あまり評価されなかった。 そうであるのに私たちはその主題を追って いた。 彼はレンズで私はペンで, なぜ私たちはそうしたのだろうか。 その理由として民家の魅力にひかれた事はもちろんあるだろう。また 自分の国の建築の思想と形態の根源を知りたかったからでもあるよう に思う。 彼もそうではなかったかと私は想像する。 その意味でこのヨ ーロッパの木の土着建築は,日本の土着建築の特徴をいっそうよく分 らせてくれるようにみえる。 そしてヨーロッパ以外のどの地方に住む 人にとっても,この本は自らを映しだすマジックミラーのようなもの になっていると思う。
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