コレクションしていたパイプを出していきます。
C.P.F.(CPF)の名をご存じの方は相当なパイプ・マニアであり、英国パイプをあらかたやり尽くしてアーリー・アメリカンに手を出してしまうような病膏肓に入る人々だと思いますが、そこまでして手に入る喫味の世界があります。アーリー・アメリカンのなかで、二大巨頭なのがC.P.F.とWDC。C.P.F.はKBBに売却され1915年に完全に消滅しますが、その自然な軽やかさと砂糖を幾度も精錬させたようなピュアな甘みはアルジェリア・ブライヤーの一つの究極です。19世紀末頃には樹齢百年、二百年といった古い材はかなりアメリカが買い占めており、それゆえイギリスパイプがキュアリングの工夫を編み出したと言われておりますが、素材の良さだけで勝負できるアーリー・アメリカンの魅力は一度取り憑かれてしまうと抜け出せません。本パイプは「PICKWICK」というモデル名で、ステムに「SOLID RUBBER」とあることから1890年代の製作と思われます。まだバルカナイトが出ていない頃、アンバーに変わるものの一つとしてSOLID RUBBERが登場。後年にはバルカナイトに取って代わられますので過渡期的なものであり、大まかですが年代測定の手がかりになります。さて、本パイプはアンバー・ステムの古いC.P.F.ほどの凄みはありませんが、それはあくまで高次の話であり、このパイプが驚くほど旨いパイプであることには変わりありません。これほど純粋なまでの甘さがでるのかと、驚かれると思います。バージニアでもラタキアでもなんでもござれです。この系統の味わいは若干の変質を経ますがKBBのKAYWOODIE辺りに受け継がれていきますね。しかしC.P.F.でしか味わえない世界があるのも事実です。
【サイズ】全長:130mm、ボウル外径:29mm、ボウル内径:21mm、高さ:48mm、44g。
【刻印】左側・・・丸囲みのなかに「C.P.F.」、アーチ状に「PICKWICK」。
銀バンド・・・アーチ状に「Sterling Silver」。
ステム・・・丸囲みのなかに「C.P.F.」、裏側に「SOLID RUBBER」
【状態】この時期のものとは思えぬほど実にきれいな状態です。
【その他】ソリッド・ラバーではなくバルカナイトのステムにするとどう変わるのか興味があり、ステムをオーダーメイドしましたので一緒につけます(確か深代(フカシロ)さんに頼んだはずです)。喫味が変わって面白いです。
■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。