混沌としたロマンチック、遠ざかる極楽都市・香港の光と影
香港を拠点に世界で活躍するフォトグラファー=ウィン・シャと、
日本を代表するアートディレクター/グラフィックデザイナー=井上嗣也。
二つの才能が響き合い、ときに衝突するエネルギーを源に創られたChaos(カオス)の世界。
そこには固定概念から解放されたグラフィックデザインと写真の、自由かつ幸福な関係が綴られている。
映画監督ウォン・カーウァイの専属スチルカメラマンとして作品づくりに参加し、
世界的な名声を得たウィン・シャが30年にわたり撮りためた写真をもとに、
二人のエクスペリメンタルなコミュニケーションの探究が生みだした一冊の写真集。
濃密に続く時間のなかで、香港の光と影が織りなす美しい混沌の世界が広がる。
― 出版社説明文より
「これまで撮り溜めた無数のイメージがループし、新たな姿となって収められたこの写真集は、
著名な井上嗣也さんのデザインによって生まれました。一見するとぶつかり合っているようにも見えますが、
後になってその存在に気付き、理解することができる、潜在意識的なクオリティを持ち合わせたものになりました。
Chaosな空間で生じた亀裂に浸透するイメージに、井上さんが息を吹き込むことで異なるイメージが結びつき、
新たな作品として誕生する瞬間を目撃しました。
偶然のように見えるものが、どうやって意味を持ったのか。まるで台本があったかのような感覚、
ペースでその作業は進められました。私はかつて、フォトジャーナリストである映画の登場人物に憧れた未熟な少年で、
それがきっかけでカメラを手にするようになりました。この映画を見ることがなかったら、今の自分は在るだろうか。
これだけのステップを経て、これだけの年月を経て、一つ一つは混沌としていますが、
すべてはナラティブな繋がりがあるビジョンであることを井上さんが気づかせてくれました。」― ウィン・シャ
「香港で蒔かれた種子が東京の水を含み、Chaosの渦の中で目覚め、画像は新たな再生を始める。
Wing Shyaの捕えた独特の画像は、強くも優しい力で僕らの眼を見開かせ、予定調和の観念から解放して、
もう一つの新鮮で衝動的なヴィジョンを体感させてくれる。写真とデザインの定着では、
彼の多種多様な写真が導いてくれた。この共作は、何とも楽しく興味深く、今までの私自身のデザイン領域を大きく拡げてくれた。」― 井上嗣也
古本ですが特に目立つダメージもなく美品です。