「バイクのエンジンには、魂がこもるんだよ!」
ポップ吉村がチューニングしたバイクはサーキットで無敵を誇った。
その速さに目を見はった本田宗一郎は、吉村のバイクを借り、馬力測定と分解を要請した。
「エンジンの神様」という称号を、ほしいままにした男。ポップ吉村。彼の人生は、
称号の華やかさとは逆に、苦難の連続であった。パラシュート事故、ホンダからの部品供給停止、……。
アメリカで詐欺にあい、商標を含めすべてを失った。そして、工場の火事で全身大やけど、家族の死
それにもかかわらず、「ヨシムラ」のバイクは、メーカー製ワークスマシンをものともせず、
サーキットを暴れ回り、勝ち続けた。
288ページ
出版社: 講談社 (2002/07)
「大会社ホンダの技術がすべてではない!」
当時のホンダ二輪開発総責任者入交昭一郎氏は思った。
「十分な設備もないところに負けるとは……。職人芸を含んだ技術がここにあると悟らされた」
1978年鈴鹿8耐。絶対的に有利といわれたホンダRCBはヨシムラに惨敗した。
当時のホンダ二輪開発総責任者入交昭一郎氏はいう。『本当に惨めだった。と誓いましたね。
そうしないと吉村さんに申し訳ない」「このままでは恥だ!徹底的にやれ!』と社内に号令をかけ、
絶対にヨシムラに勝つ、いつか見てろよ、このクソおやじ!
迎え撃つ王者ポップ吉村は、メカニックの数も、資金も十分ではないなか、どう闘うのか。
322ページ
出版社: 講談社 (2002/07)