銘の形状から明治20年代から明治40年代にかけて製作されたと判断される香蘭社の黒雲黒龍図変形花瓶を出品致します。
明治初期には、香蘭社などが金蘭手古伊万里を近代風にアレンジした作品を欧米に多く送り出して好評を博しましたが、やがてマンネリ気味となり、飽きられるようになりました。そうした折に開かれた明治22年のパリ万国博覧会において、香蘭社が出品した釉下黒の黒雲黒龍に金粉を散らした花瓶は従来の伊万里風とは違う新鮮な意匠として高く評価されました。本作は、それと同様の黒雲黒龍を描いた香蘭社の変形花瓶です。変形という理由は、黒龍に躍動感を与えるため、胴部の数箇所に意図的な窪みをつけているからです。添付写真でご確認頂けると思います。また、龍は酸化ウランの釉下黒で描かれています。所々に見える赤い焔雲は釉裏紅です。つまり、全て釉下彩で描かれています。この時期の香蘭社の意匠は極めて斬新です。世界に打って出ようという香蘭社の意気込みが感じられて、私はこの時代の香蘭社や深川製磁の作品が好きです。
寸法は、高さが25cmです。
ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はありません。かすれがちな口縁部の金彩も綺麗に残っており、また伝世による擦り傷などもなく、未使用と言っても良い保存状態です。但し、残念ながら、施釉時に指が龍の鼻の辺りに触れたらしく、その部分に円形の釉薬の乱れがあります。写真でご確認下さい。遠目には分からないとは思いますが、このため二級品として大幅に値下げして出品致します。
注: 私の出品写真と説明文をそのまま盗用して、格安で販売しますという詐欺サイトが最近いくつかあるようです。呉々も騙されないようにご注意下さいませ。
私はオークションサイト以外には出品しておりません。(呆れたことに、この注意文までコピペしている詐欺サイトもあります)