伊達家伝来の甲冑です。伊達家の蔵の整理番号は十干で、刀や着物等をそれぞれ整理していたようですが、甲冑等は庚で整理されていたと言われています。本甲冑の胴内側には由来書が残されています。内容は、元々伊達政宗(貞山公)のものであったが小十郎(片倉家は代々小十郎を名乗りますが、政宗と同じ時代だと景綱)にあげたもので、その後に小十郎(こちらは伊達吉村と同じ時代の片倉様)から伊達吉村公が召し上げたもの、と書かれています。本胴には九曜紋の金具装飾があり、伊達政宗が片倉家に九曜紋の使用を許したといわれていることとも関係があるようにも思います。また何かの記録に、老齢の片倉景綱に重い甲冑を心配して、伊達政宗が自分の甲冑を与えたそうであり、本甲冑の草摺がなぜか木製であることとも関係がある可能性もあります。本甲冑には胴前面に龍の蒔絵も見られます。金蒔絵ではなく黒蒔絵のため目立ちませんが、それがまたあからさまではなく見事です。面頬の良さも格別で、本人の型を取って造ったと思われる錆漆塗の名品です。よくある面頬とは違い、型を取ったような造りで手で持つための部分もとても持ちやすく隆起しています。兜については、吹返しに伊達家の縦三引両紋があり、また鉄砲の試し打ちと思われる跡が3箇所見られます。頭成兜は滑らかな作りのため、鉄砲に対する防御が強いのが特徴です。別ページに追加画像も載せているのでご覧下さい(この出品者の他の商品から見れます。)
伊達家の蔵整理番号があることから、少なくともどこかの時点で伊達家にあったものと思われます。伊達吉村公の召替具足の内の1つと思われます。
※木製の草摺、前立以外の箇所は磁石に反応します。発送の際は剥がれかけている漆が剥がれないようにできるだけ気をつけますが、よろしくお願い致します。