映画音楽の巨匠Dave Grusinとその弟のDon Grusinの二人だけですべてのパートを演奏した作品です。1988年当時のデジタル技術をふんだんに駆使して作られていますが、彼らはベタな打ち込みっぽい音を嫌い、DX7(シンセサイザー)やRX5(リズムマシン)を曲の最初から最後まで弾いているかのようです。DX7やRX5の音質は現代のパソコンに実装されている音源にも劣るのに、それでもここまでの音楽が作り出せたことに驚きます。
DTM(デスクトップ・ミュージック)の出現によって、この頃から世界的にコピー&ペースト系の曲が席巻しました。ところが、この作品にはコピペ的な匂いがしません。「キーボーディスト二人だけでどんなジャズになるかやってみよう!」的なノリです。だから、聞いていて楽しくなります。
このアルバムの曲は当時のテレビやラジオのBGMに盛んに使われていました。1曲目のBirds With Long Legs、4曲目のRiver Songは、とても爽やかな曲で起き抜けやドライブによく聴いていました。3曲目のSailing at Night、10曲目のSouthern Windは、どちらも海風に身を任せるような心地よさで、オープンテラスのカフェ向きな曲です。これらの曲はアウトドア系のテレビ番組でよく使われていましたね。
外で楽しめる音楽をお探しなら、このアルバムは買いです!