新設計の空冷内径φ85mm×行程66mm180°V型12気筒4,494cc912型エンジンで、当初から520馬力(DIN)/8,000rpm、
46kgm/6,800rpmを発揮した。構造としては908に搭載された2,997cc水平対向8気筒の908型エンジンに4気筒を足す形
(3リットル+1.5リットル=4.5リットル)で、第12クラス上限の5,000ccまでは使い切らなかった。
908型までは気筒毎にひとつのクランクピンを持つ「ボクサー」タイプだったが、912型では対向する2気筒がひとつのクランクピンを共有する
「180°V12」タイプへと変更された。また、12気筒ではクランクシャフトが長くなり捻り振動の問題が生じるため、
クランク中央のセンターギアから出力する「センターテイクオフ方式」を採用した。この手法はF1でBRMV型16気筒エンジンや
メルセデス直列8気筒エンジン、ホンダV型12気筒エンジンなどに採用された前例があった。
ポルシェは1991年にフットワークに供給したF1用V型12気筒エンジンでも同手法を採用したが、重量増を招き、かつ補機が上に乗るため
目論見ほど重心を低くすることはできず、917のようには成功しなかった。
冷却ファンはクランク中央からギア駆動されるFRP製ファンにより所要馬力17
hp、エンジン回転数が8,400rpmの時7,400rpmで回転し、
2,400L/秒の空気を送風するという。
ギアボックスは大トルクに耐えうる高強度ギヤの5速マニュアルが新設計された。
シャーシ
908と同様のアルミ合金パイプによるスペースフレームを採用し、フレーム自体の重量はわずか47キログラムに過ぎない。1
2気筒エンジンを搭載しながらも、ホイールベースは6気筒の906以来変わらぬ2,300ミリメートルに保たれていた。
その分ドライバーの搭乗位置が大幅に前進し、スペアタイヤの搭載位置がフロントからトランスミッション上部へと移設された。
サスペンションスプリング、ステアリングラックアンドピニオン、ブレ−キハブはチタン製。ホイールは15インチ径で、
リム幅は前が9インチ、後ろが12インチ。タイヤはダンロップ製。
主要諸元 |
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シャシー | アルミ合金スペースフレーム |
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サスペンション(前) | ダブルウィッシュボーン |
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サスペンション(後) | 上 Iアーム、下 逆Aアーム コイルスプリング/ダンパー ツインラジアスアーム |
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全長 | 4290 mm(ロングテール 4780㎜) |
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全幅 | 2033 mm |
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全高 | 920 mm |
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トレッド | (前)1488/(後)1457 mm(1533 mm) |
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ホイールベース | 2300 mm |
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エンジン | 912/4.5 4494 cc 水平対向12気筒 NA ミッドシップ |
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トランスミッション | ポルシェ5速+リバース MT |
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重量 | 800 kg(ロングテール 830㎏) |
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タイヤ | ダンロップ |
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