ウェブサイトによってはボア(スロート)サイズ4.1mmという表記もあり、また製作時期などによっても微妙に細部の作りが異なるようです。
すでにE.シュミットモデルの「8」を愛用されている方でも、微妙な個体差や吹奏感の違いが感じられるので、2本目や予備のマウスピースとして所有するのもとても良いと思います。
リムはフラット気味ともラウンド気味とも言える絶妙な形状で、ホルンではもっとも標準的な17.5mm程度のリム内径と、その厚みも含めて唇への感触が優れ、吹いていて心地良いリムです。
アンブシュアが安定して、長いフレーズや長時間の演奏でもバテにくく、なおかつリップのコントロールもしやすい素晴らしいリムデザインになっています。
リムからカップにかけてちょうど良いエッジが設けてあって、高音域などでわずかに唇にプレスがかかった時に程良く引っかかる感じの絶妙なエッジになっています。
カップはややVカップ気味のUカップといった感じで、それぞれの良い部分を併せ持つような優れた形状になっています。
深すぎないカップは音色の良さを損なうことなく高音域の演奏を容易にしてくれます。
「やや浅め」と言うほど実際にはさほど浅くないカップで、標準的〜わずかに浅めといった感じで、どの音域でも豊かに響かせることができます。
カップ内には敢えて旋盤の加工跡をヘアライン状にうっすらと残してあって、カップの中で息の流れや響きが微妙に複雑な乱反射をすることで良い音色を生み出すという話も聞きます。
スロートからボアにかけて直線部分が設けてあって、息を入れている時の抵抗感が素晴らしくバランスが取れるよう、精緻な作りになっています。
ボアが太すぎるマウスピースが多く使われるようになっていますが、適切なサイズのボアからは色彩感と品格のある、伝統的な中央ヨーロッパの美しいサウンドが醸し出されます。
息を取られすぎず、1回のブレスで同じフレーズでも長く余裕を持って吹けるので、あまり太すぎるボアのマウスピースよりも好ましいと思います。
また優れたバックボア形状で、吹奏時の抵抗感、イントネーション(音程)、音色の輝かしさ、ダークさ、それぞれの音域の吹きやすさなど、巧みにバランスを取って製作されているのがわかります。
シャンク先端は非常に薄く繊細に仕上げてあります。
マウスピースレシーバー内での段差による息の流れの乱れを、最小限にとどめる他、バックボアの先細りによるアメリカンシャンクの難点を巧みにカバーする優れた仕上げがなされています。
音色はふくよかで豊かな、コンサートホールの隅々までよく響く魅力的で品格のあるサウンドです。強奏時には輝かしい音色と音量も得られますので、大編成の中の演奏でも埋もれることのない、存在感のある響きです。
ヤマハ、ハンスホイヤー、コーン、ホルトン、パックスマン、ヴェンツェルマインル、その他多くのメーカーのホルンのシャンクに最適にマッチングする点でも希少な素晴らしいマウスピースです。